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Phragmites communis Trin. © Flora of China

Phragmites communis Trin. © L.B. Vilmont

Identification

繊維タイプ
平均繊維長	2mm (1-3mm)
平均繊維幅	18µm (10-25µm)
繊維の末端	尖っていないか、または先細
線条痕、十字痕、屈曲ひだ	壁が薄く、くぼみがある繊維。四辺形、楕円形、棹状
原料に含まれる細胞	柔細胞表皮細胞
特徴	大型の導管要素。先端が尖っていないトゲが表皮に付いている。不鮮明な細胞壁
ヘルツベルク染色	青
グラフC染色	青

Botanical classification

Phragmites communis Trin.

Order:

Poales

Family:

Poaceae

Synonyms:

Arundo phragmites L.

Plant growing area

ヨシは世界中の温帯と熱帯の湿地に広く分布する。

ミャンマー、セイロン、インド、パキスタン、台湾。

Use area in the manufacture of paper

中国, 韓国, 日本。

Plant cultivation and use

Phragmites communisは大型の多年草である。沼地や河岸の水分が多く酸素濃度が低い土壌に群生する。細長い茎の先に銀色の羽ぼうき状の房が付き、高さは2～3メートルに達する。根茎は多年生で、河岸に群落を作り、時には強い侵入性を示す。

屋根葺き、かご編み、敷物作りに使われる。最近は、雑記用紙作りにも使われる。

日本では日よけ作りによく使われる。

Japan:

日本では布を染める黄色の染料として使われる。色素であるトリシンはフラボンの一種である。

Korea:

朝鮮時代（1392-1910年）に、代用材料として、コウゾの樹皮と合わせて使われた。

Paper names

アジア、中でも特に中国、韓国、日本では、紙の用途は幅広い。書道や美術用の紙、儀式で使用する紙、ものと交換する媒体としての紙、紙幣、衣服・壁掛け・寝具の製造に使う紙、建築・内装用の紙、家庭用と娯楽用の種々の工芸品に使う紙などがある。

紙の名称の由来は、原料、生産地、製造方法、外見、寸法、用途、職人や工房の名前など、さまざまである。

China:

Suffixes zhi or chih = paper.

Korea:

韓国ではコウゾの樹皮から作る紙が最も多い。

Used part of the plant:

茎

Use for paper making:

染料

繊維

Botanical classification

Alcea rosea L.

Order:

Malvales

Family:

Malvaceae

Synonyms:

Althaea rosea (L.) Cav.

Althaea rosea var. sinensis (Cav.) S. Y. Hu

Althaea sinensis Cav.

Plant growing area

野生での原産地は不明であるが、中国または東南アジア熱帯原産と言われる。

中国（観賞用に広く栽培される。福建、広東、広西、海南、四川、台湾、雲南）、パキスタン（観賞植物として広く栽培され、多数の品種がある）。

Use area in the manufacture of paper

中国, 韓国, 日本

Plant cultivation and use

高さ2～3 mの二年生または多年生の草本。観賞用に栽培される。開花期は7月から9月。花の色は白からピンク、濃紅、黒まで幅広い。

紫の花から紫と青紫の染料がとれる。染料の構成成分はアントシアニジン類（シアニジン、デルフィニジン、マルビジン）である。葉からは緑の染料、花からは赤の染料がとれる。染料は絹、羊毛、綿、皮革の染色に使われた。

根と花はチベット医学で粘滑薬、利尿薬、収斂剤に使われる。

栄養素としての特性もあり、若葉は食用に適する。根から栄養に富むデンプンがとれ、花弁から茶が作られる。

China:

主に薬効目的で利用される。儀式用の紙と学者の名刺の染色に使われる。

Japan:

染料として使われる。

Korea:

染料として使われる。

Preparation process for making paper

開花後に花を収穫し、乾燥させ、後日使用する。染料は花弁から抽出する。花弁は生か乾燥のいずれかの状態で使用する。

Japan:

天然染料で染めた紙。染色は2種類の方法で行われる。パルプの染色（漉き染め）または紙に加工したものの染色（浸し染めまたは引き染め）である。

Paper names

紙の名称の由来は、原料、生産地、製造方法、外見、寸法、用途、職人や工房の名前など、さまざまである。

China:

中国では、韓国や日本と異なり、コウゾ

の繊維から作る紙は主流ではなく、竹の繊維から作る紙が最も重要である。

Japan:

接尾辞かみ、がみ、し = 紙

日本では、コウゾの紙が最も多い。

Korea:

韓国ではコウゾの樹皮から作る紙が最も多い。

Used part of the plant:

葉

花

Use for paper making:

染料

Cannabis sativa L.© O.W.Thomé Flora von Deutschland 1885

Identification

繊維タイプ	靭皮繊維
平均繊維長	靭皮：11mm (5～ 45) 芯： 1.7mm (0.5～4.5)
平均繊維幅	靭皮：22µm (10～50µm) 芯： 22.5µm (8～72)
繊維の末端	先端に向けて細くなり、先端は鈍い
線条痕、十字痕、屈曲ひだ	目立つ十字痕と縦方向の線条痕
原料に含まれる細胞	しばしば存在
特徴	長い繊維植物の芯に、大きな多数の柔細胞壁が厚く、多くの十字痕、ずれ、縦方向の線条痕先端は鈍いが、加工法が原因で不規則布に由来する繊維には細胞が混在しないのに対し、原料からとった繊維には、クレーター状のくぼみがある導管、柔細胞、穴のある短い繊維が含まれる麻の繊維は普通、亜麻の繊維よりも大きい壁が不規則不規則で大きいルーメン多数の十字痕、不規則繊維とフィブリル化の状態から、布くずに由来するものかどうかがわかる
ヘルツベルク染色	紫をおびた黄色（靭皮）/ 濃い紫（芯）、ワインレッド
グラフC染色	赤茶色（靭皮）/ 焦げ茶色（芯）

Botanical classification

Cannabis sativa L.

Order:

Rosales

Family:

Cannabaceae

Synonyms:

Cannabis chinensis Delile

Cannabis indica Lam.

Cannabis sativa var. indica (Lam.) E. Small & Cronquist

Plant growing area

ブータン、インド、シッキム、中央アジアに自生または帰化。

中国全土で栽培。新疆ウイグル自治区では自生または帰化。

Cannabis sativaはおそらく中央アジア原産と考えられるが、長く栽培されてきたため、正確な当初の分布を確認することは困難である。長年の栽培と、各種の望ましい特徴を目的とした人為的な選択により、かなりの変異が生じたが、これを複数の種に分類することや、複数の品種を認識することは、おそらく栽培品種レベルよりも上では正当化できないものと考えられる。

人の移住と侵略に伴い、全大陸にアサの栽培が広がった。

現在はすべての温暖な温帯地域で栽培されている。

Use area in the manufacture of paper

中国, 韓国, 日本。

China:

四川, 新疆ウイグル自治区

Japan:

四国（徳島県、高知県）, 中部（福井県）

Plant cultivation and use

一年生の草本で高さは最大2 m。多型性が高く、気候、緯度、土地により品質が異なる多数の品種がある。

雌雄異株であるが、雌雄同株の品種もある。

繊維と麻実油をとるため、および食用、薬用、医療用に、数千年にわたり利用されてきた。各部分は用途に従い異なる方法で収穫される。

油と繊維という2種の用途のために栽培される。

繊維をとるための栽培は、肥沃な土地で夏に行われる。

繊維は茎の表面部分からとる。麻の繊維をとる作業は重労働である。繊維を柔らかくするために、茎を水に浸けて発酵させ、繊維の周辺の柔組織を取り除く。その後、乾燥、圧搾、叩解を行い、長い繊維をとりだす。

China:

麻の栽培は、おそらく中国で最も古く、最も長く続くものの一つと考えられる。

麻は中国全土で栽培されるが、特に北部に多い。おそらく中国北部で発展し、そこで最初の繊維用植物として栽培されたものと考えられる。中国最古の薬物書である本草経（紀元前100年頃）には、泰山（山東省の山）が麻を栽培した史上最古の場所と記されている。

麻は明代（1368～1644年）に、綿繊維よりも早く、衣服を作るために使われた最古の植物である。

中国の古書では、麻、亜麻、ジュート、カラムシが「麻」と呼ばれている。

製紙用繊維としての麻の使用は最も歴史が長く、前漢（紀元前206～紀元後8年）時代にまでさかのぼる。

最初の紙は布から、または未加工の靭皮繊維から作られた。

ニヤ県（新疆ウイグル自治区）で発見された前漢時代の紀元前3世紀と年代が同定された最古の紙片、ハ橋区（陝西省）で見つかった紀元前140～紀元前87年と同定された紙片、楼蘭（新疆ウイグル自治区）近くのロブノールで1934年に見つかった紀元前1世紀と同定された紙片は、麻の繊維で作られていた。

漢代には、コウゾやカラムシなどの他の製紙原料も多く使われ、3世紀には籐も使われるようになったが、製紙用の主要な原料は常に麻であった。

唐代（618～907年）に、麻の紙は軽量、強靱で防水性があるため、書、製本、公文書（宮廷の文書を含む）に最適と考えられた。

製紙での麻の使用は唐代以降衰退し、しだいにカラムシと竹に移行した。

Japan:

韓国では、中国で製紙が始まってから、比較的すぐに製紙が始まった。始まりの時期は3世紀から6世紀末と考えられている。最初の韓国の製紙業者は中国の製紙業者が用いるのと似た原料と技術を使い、麻とカラムシの屑、およびコウゾを使用した。

三国時代（高句麗、百済、新羅：紀元前18～紀元後668年）に、紙は麻（ma ji）とコウゾ（jo ji）から作られた。

高句麗（紀元前37～紀元後668年）で麻から作られた紙は、白い色となめらかな表面で有名であった。

高麗王朝（918～1392年）は、仏教の経典の全集を出版し、輸出するための紙の需要が増大したため、1145年から、コウゾの木の栽培と民間の製紙業を奨励した。このため、製紙における麻の使用は衰退した。

朝鮮王朝（1392～1910年）のもとで15世紀初期に、原料の不足が明らかになり、新技術とコウゾ繊維に代わる他の原料の使用法を学ぶために、韓国の製紙業者が中国へ派遣された。これらの製紙業者がコウゾの繊維に麻を混ぜて使う方法を再導入した。

Korea:

日本では伝統的に、麻が純粋さを表すとされ、男女の交際において象徴的な役割を果たしたため、麻は多くの儀式や民話で取り上げられている。

製紙用繊維としての麻は、6世紀末に、韓国を通じて日本に伝えられた。麻の繊維で作られた紙は「麻紙（まし）」と呼ばれる。

6世紀から12世紀までの時期は、中国を模範とした中央集権制を特徴とし、そのため、膨大な数の文書が作成された。麻、ガンピ、コウゾの繊維を、しばしば混合して製紙に使用した。しかし、麻の繊維が最も人気があり、奈良時代（8世紀）には最も多く使用された。

称徳天皇の時代の770年頃に印刷され、紙に印刷された文としては世界最古のものの一つである百万巻の陀羅尼では、麻の紙が使われている。

平安時代（794～1185年）以降、麻は人気がなくなり、麻に代わり、製紙が容易なガンピとコウゾが主流になった。

Preparation process for making paper

China:

洗った織物くずを、石臼に水を入れた中に浸ける。次に、アルカリ性溶液中に1日、浸けるか、または煮る。最後に、臼または粉砕器で圧搾する。

Japan:

茎は夏の終わりから秋にかけて収穫する。繊維が離れるまで水に浸けるか、蒸す。その後、アルカリ性溶液中で2時間、煮沸する。

パルプを粉砕または叩解する。

パルプを汲み出し、脱水し、シート状にする。

Korea:

織物くずを水に浸けた後、小片に刻み、粉砕器で圧搾する。

パルプを蒸し、水で洗浄した後、再度圧搾する。

パルプを紙床に注ぎ入れ、シートを形成する。

乾燥と漂白は型の中で行う。

Paper names

紙の名称の由来は、原料、生産地、製造方法、外見、寸法、用途、職人や工房の名前など、さまざまである。

混同しやすい点に注意が必要である。中国と日本では、「麻の紙」、「ma zhi」と呼ばれる紙が、麻、亜麻、カラムシ、ジュートのいずれかで作られている場合がある。

China:

中国では、韓国および日本と異なり、コウゾの繊維から作られる紙は少なく、竹の繊維で作られる紙が最も重要である。

Japan:

接尾辞はかみ、がみ、し = 紙

日本ではコウゾから作る紙が最も多い。

Korea:

韓国では、コウゾの樹皮から作る紙が最も多い。

Used part of the plant:

茎

Use for paper making:

繊維

Hibiscus manihot L. var. manihot © Flora of China

Hibiscus manihot L. var. manihot © C. Laroque

Botanical classification

Hibiscus manihot L. var. manihot

Order:

Malvales

Family:

Malvaceae

Synonyms:

Abelmoschus manihot (L.) Medik. var. manihot

Hibiscus japonicus Miq.

Plant growing area

中国（広東、広西、貴州、湖北、四川、台湾、雲南）、インド、日本、韓国、ネパール、フィリピン、タイ北部。

標高1000～2100メートルの草地、河岸、耕地の辺縁に生育する。

Use area in the manufacture of paper

中国韓国 日本

Plant cultivation and use

Hibiscus manihotは毎年開花する高さ1～2メートルの多年生植物で、温帯を中心に分布する。排水性の良いさまざまな種類の土壌と、日射を好む。花の色は白から淡黄色。開花期は8月から10月。

月経促進と鎮痛の薬効があると言われる。花と葉は食用になる。

根に含まれる粘液はD-ガラクツロン酸とL-ラムノースの共重合体の多糖である。この粘着物質をパルプに加えて粘性をつけ、タンク内での繊維の沈着を遅らせる。また、この粘液により、長い繊維を均一に分散させることができる。溶液は不安定で、熱、長時間の空気への露出、機械的振動により粘性が低下する。このため、製紙作業中に、粘性の低下に合わせ、徐々に粘液を加えてゆく。

19世紀末に東アジア全域で、他の植物に代わり、主にHibiscus manihotの粘液が使われるようになったようだ。

China:

Hibiscus manihotは南宋朝（1127～1279年）時代に使われていたが、おそらくそれ以前から使われていたものと思われる。13世紀中頃の文人、周密が著した「癸辛雑識」（癸辛街の雑報）の記事に、Hibiscus manihotの使用に言及した部分がある。

他の参考文献から、明朝（1368～1644年）末期にも、特にコウゾの繊維から作られる紙の生産で、形成の補助に使われていたことがわかる。その使用法は、1643年に方以智が著した「物理小識」に記録されている。

Japan:

この植物は日本全土に自生する。生育した土壌が栄養豊富であると、栄養が乏しい場合よりも粗根が少ない。根の成長を促すために葉と花を摘み取る。葉が黄色くなった時点で植物全体を地面から抜き、根を切り取り、束にして、乾いた場所に貯蔵する。

気温が高い季節には、粘液の発酵が進み、短時間で特性を失うため、すぐに粘液を使う必要がある。

Korea:

この植物は、おそらく中国から輸入されたものと思われる。昔は、すべての部分から粘液を採取していた（茎、葉、根）。

1850年に李圭景が編纂した百科全書「五洲衍文長箋散稿」に、この植物への言及がある

Preparation process for making paper

China:

春に種を蒔き、収穫は普通、霜が降りる前の晩秋である。根の成長を促すために、定期的に花を摘む。

葉が黄色くなった時点で、植物全体を地面から抜く。根の外皮をむく。次に、根をつぶすか、または粗くすりつぶす。その後、布袋に入れ、水を入れたバケツに浸す。粘液が出てきたら、袋を絞るか、または吊して、粘液を抽出する。

Japan:

大豆や緑豆と同じ頃に種を蒔く。

葉が黄色くなった時点で（通常6月）、植物全体を地面から抜き、後で使用するために乾燥させる。または、11月か12月に根を回収し、すぐに使用する。

根の外皮をむく。次に、根をつぶすか、または粗くすりつぶす。その後、布袋に入れ、水を入れたバケツに浸す。粘液が出てきたら、袋を絞るか、または吊して、粘液を抽出する。

Korea:

春に種を蒔き、収穫は普通、霜が降りる前の晩秋である。根の成長を促すために、定期的に花を摘む。

Used part of the plant:

根

Use for paper making:

分散剤

Boehmaria nivea (L.) Gaudich. © Flora of China

Boehmeria nivea (L.) Gaudich. © C.Laroque

Boehmeria nivea (L.) Gaudich. © L.B. Vilmont

Identification

繊維タイプ	靭皮繊維
平均繊維長	60 – 250 mm
平均繊維幅	17 – 80 μm
繊維の末端	丸い（まれに存在）。
線条痕、十字痕、屈曲ひだ	壁が縦方向に成層化。多数の十字。
原料に含まれる細胞	シュウ酸カルシウム結晶。
特徴	繊維は扁平なリボン形で、よれて絡まる傾向がある。広いルーメンと膜を持つ。断面：管状よりもむしろ扁平。ルーメンと壁の厚みは多様。
ヘルツベルク染色	オレンジレッド
グラフC染色	赤

Botanical classification

Boehmeria nivea (L.) Gaudich.

Order:

Rosales

Family:

Urticaceae

Synonyms:

Boehmeria nivea (L.) Hook. f. & Arn.

Urtica nivea L. (pour Boehmeria nivea var. nivea)

Ramium niveum (L.) Kuntze

Plant growing area

熱帯アジア原産。

ブータン、カンボジア、中国（安徽南部、福建、甘粛南部、広東、広西、貴州、河南南部、海南、湖北、湖南、江西、陝西南部、四川、台湾、雲南、浙江）、インド、インドネシア、日本、韓国、ラオス、ネパール、シッキム、タイ、ベトナム。

林縁、藪、河岸湿地、路傍。頻繁に栽培される。標高200～1700 m。

Use area in the manufacture of paper

中国, 韓国, 日本

Plant cultivation and use

カラムシ属はイラクサ科の属で、約100種で構成される。約65種が熱帯・亜熱帯に分布し、そのうち6種が中国の固有種である。顕花植物であるが、イラクサ科の他の植物と異なり、この属の植物には刺毛がない。

ナンバンカラムシ（Boehmeria nivea）は、丈の高い多年草である。地下茎の株分けにより増える。茎は2～3メートルまで成長する。排水性の良い砂地の土壌を好む。

丈夫な靭皮繊維を取るために栽培される。生育地の気候によっては、年に2～4回の収穫も可能である。

繊維は麻よりも短いが、非常に丈夫で、縄や網の製造に適している。長い繊維は織物業界で使われ、短い繊維は製紙業界で使われる。

6000年以上前から使われていたと考えられており（古代エジプトでミイラを包むための布の製造に使われていた）、世界で最も古くから織物の原料として使われていた植物の1種に数えられる。

しかし、この植物から繊維を抽出するのは困難である。樹脂の中に繊維が深く入り込んでいるため、引きはがすのが難しいためである。

また、分子の結晶化度が高いため、繊維を染めにくい。光沢があることから、「silk plant＝絹植物」と呼ばれていた。

解熱剤などの薬効も知られている。また、葉と根は食用にもなる。

Boehmeria nivea は飼料としても栽培される。

China:

カラムシの栽培は、中国で3000年にわたり続いている。記録では主に織物用の植物としての栽培が取り上げられている。カラムシは中国の特に北部と西部に、亜麻、麻、黄麻のように自生していた。中国の古書で、それらの植物はすべて「麻」と呼ばれている。

應星（1600年頃～1660年頃）によれば、緑と黄の2品種があった。茎は年に2～3回収穫できる。繊維はペクチンで覆われているためバクテリアの作用により除去できないという点で、亜麻、麻、黄麻とは異なる。

繊維を得るためのペクチン除去工程は、陸機の「詩経疏」（3世紀）の中で、次のように描写されている。「竹または鉄のナイフで樹皮をはぐ。内側の繊維を煮る。この織物は中国南部全域で室内装飾用織物として使われている」

中国北部ではペクチンの除去工程があまり知られていなかったため、カラムシで作られた服は特に南部で製造され、着用された。それは軽い夏服として、庶民が着用していた。また、カーテンや蚊帳の製造にも使われた。
　13世紀のモンゴル帝国政府は、この種の栽培を中国北部に導入しようとしたが、乾燥した北部ではカラムシの生育が悪く、失敗に終わった。

この植物の栽培は、南部では綿栽培が発達するまで続いた。19世紀には、広東でヨーロッパへの輸出が盛んになった。

カラムシは、製紙に使われる中国最古の繊維の1種に数えられる。

唐王朝（7～9世紀）から、麻の織物に対する需要が拡大した。麻が織物用に確保されたため、製紙では次第にカラムシが主流になった。麻の使用は唐王朝末期に終わった。

Japan:

主に織物用に使われ、特に沖縄県宮古島特産の宮古上布と呼ばれる極細の糸で織られた織物の生産に使われた。その織物により、現地の気候に合った服を作ることができる。

Korea:

韓国では製紙にはほとんど使われず、主に織物に使われる。

Preparation process for making paper

China:

茎が茶色に変わる時期に収穫する。

茎から葉を取り除き、茎を蒸し、繊維をはぎ取る。腐らないよう、内側の皮を乾燥させる。

灰汁を加えて繊維を2時間煮る（新鮮な材料は、それよりも長く煮ることが必要な場合がある）。

その後、ホランダー叩解機で叩く。

Paper names

紙の名称の由来は、原料、生産地、製造方法、外見、寸法、用途、職人や工房の名前など、さまざまである。

China:

中国では、韓国や日本と異なり、コウゾ

の繊維から作る紙は主流ではなく、竹の繊維から作る紙が最も重要である。

Used part of the plant:

茎

Use for paper making:

繊維

Identification

繊維タイプ	靭皮繊維
平均繊維長	12,2mm
平均繊維幅	30,2µ
繊維の末端	鈍い
線条痕、十字痕、屈曲ひだ	十字痕
原料に含まれる細胞
特徴	壁は不鮮明
ヘルツベルク染色	紫
グラフC染色	紫

Botanical classification

Morus alba L.

Order:

Rosales

Family:

Moraceae

Synonyms:

Morus alba var. tatarica (L.) Ser.

Morus atropurpurea Roxb.

Morus indica L.

Morus intermedia Perr.

Morus multicaulis Perr.

Morus tatarica L.

Plant growing area

世界中で栽培されている。

中国（中国全土で栽培）、インド、パキスタン。

撹乱地、林の境界、フェンスロウ（生け垣とその両側の非耕作地）、乾燥から湿潤までの茂み。0～1500m。

Use area in the manufacture of paper

中国, 韓国, 日本

China:

江蘇, 浙江

Japan:

中部（長野）、四国（徳島）

Plant cultivation and use

Morus alba は高さが20メートルにまで達する落葉樹（一部の熱帯地域では常緑）である。成長は若い間は速く、その後、遅くなる。挿し木で増える。春から夏に開花。かなり強い植物で、干ばつによく耐える。

ラテックスを分泌し、実は食用可。

実、根、樹皮は伝統医薬で使われ、根皮には駆虫効果がある。

根、葉、樹皮は染色に使われる。葉はルチン（フラボノール）を含み、木質と樹皮はさまざまなフラボン（ムルベリン、ムルベロクロメン、シクロムルベリンなど）を含む。

樹皮からは製紙用の繊維と織物用の繊維がとれる。

Morus albaは1000年間、インド、アフガニスタン、イランからヨーロッパ南部までの地域で、カイコの餌として広く栽培され、現在、世界中で栽培されている。

最初は中国北部の固有種であったが、現在は中国全土で栽培されている。この伝統的な木は、特に浙江省と江蘇省で、養蚕のために植えられる。養蚕は4000年以上前に中国で始まった。

China:

クワ科で樹皮を利用する樹種の性質については情報が混乱している。中国でクワを表す3つの語（Ku Chou Kou ）は発音がよく似ており、木の外見も似ているため、混同された。中国のさまざまな資料によれば、Morus albaとBroussonetia papyriferaの両方の樹皮が製紙に使われていた。

Morus albaの樹皮の表面にはしわがある。繊維は長く、非常に分離しにくい。このため、原料の処理に、Broussonetia papyriferaとBroussonetia kazinokiよりも時間がかかる。後の2種の樹皮の方がよく使われたのは、それが原因かもしれない。

Pan Jixingによれば、これらの繊維は魏（220～265年）の時代から製紙に使われている。

マグワから作られる紙は、晋（265～420年）と唐（618～907年）の時代に、書の台紙としてよく使われた。敦煌の多くの古文書には、ch'uの樹皮を原料とする紙が使われた。

明王朝（1368～1644年）の歴史書によれば、紙幣用の紙を作るために、クワ（sang pi）で繊維（sang jang）に緑の色をつけていた。この紙は厚く、なめらかで、浙江で製造され、養蚕農家がカイコの卵を保存するために使用した。

Japan:

大町市（中部地方長野県）周辺は最大の養蚕地域の一つであり、桑紙の製造が盛んであった。製紙業者は養蚕に関係する種々の紙（繭を育てるための袋、卵を入れる袋）を製造していた。

コウゾの収穫量が少ない年は、クワをコウゾに混ぜて使っていた。

Korea:

朝鮮時代（1392～1910年）に、樹皮をコウゾ繊維と混合して使用していた。根は黄色の染料として使われていた。

Preparation process for making paper

China:

春に収穫する。樹皮は木から直接はぎ取るか、または枝を束にして蒸す。蒸すか、または蓋をした釜に入れて沸騰した湯で煮た後、樹皮をはぎ取る。次に、樹皮を日に干すか、または発酵させる。前者の場合、数日間、アルカリ性溶液（灰汁）中で煮て、不純物を取り除く。発酵を利用する場合は、樹皮を水に浸して数日間発酵させる。次に、水で洗い、茶色の樹皮をナイフで削る。その後、数週間、石灰水に浸ける。その後、さらに洗う。

漂白は、7～11週間、樹皮を日に干し、水を吹きつけて行う。

次に、樹皮をさまざまな方法で砕く。たとえば臼と杵やはねハンマー（足こぎハンマーか水力式のハンマー）を使い、石の上で叩解するか、木槌や木の棒で叩解するか、動物が引く臼で砕く。

抄紙の前に、発酵したパルプに分散剤を加える。

抄紙にはいくつかの方法を使う。目的の紙の厚さにより量を加減して流し入れる。シートを重ねて一晩寝かせた後、重しを載せるか、またはプレスを使って圧搾する。その後、熱した壁か熱していない壁に置いて乾かす。

Japan:

収穫は11月、12月の落葉の時期に始まる。枝を長さ1メートルにそろえて切り、束を作る。樹皮をはがしやすくするために、束を2～3時間、蒸す。この段階の皮は、貯蔵前に取り除く外層の色から「黒皮」と呼ばれる。この部分は削り取る。

次に、樹皮を洗浄し、ラックに掛けて乾燥させる。2～3年の貯蔵後に、樹皮は紙を作るために適した状態になる。

煮る前に皮を漂白するために、冷たい川の水に樹皮を浸けるか雪上に置いて、日にさらす。アルカリ性溶液中で煮ることにより、叩解中に繊維を分離しにくくするリグニン、ペクチン、ガム、ワックスを除去できる。アルカリ性溶液は木灰またはアルカリ性化学物質（水酸化ナトリウムまたは石灰）である。約2時間煮るが、皮の古さと使用するアルカリの種類により、時間は変わる。煮沸後、皮を洗浄して残ったアルカリを除去する。不純物は冷水中で、手で洗って除去する。

次に、パルプを槌か棒を使って手で叩くか、なぎなたビーターと呼ばれる日本製ホランダー叩解機で叩く。

水を張った木の槽にパルプを注ぎ入れ、分散剤を加え、木製の熊手を使って強く攪拌する。

抄紙には、流し漉きと溜め漉きの2種類がある。溜め漉き法では、必要なパルプ全量を一度に取ってシートを形成する。流し漉き法では、目的の厚みになるまで繊維の層を重ねて作る。

シートは印をつけた板に1枚ずつ寝かせる。圧搾後にはがしやすくするために、間に何か（糸、茎）を挟む場合がある。圧搾は紙に重しを載せるか、またはレバープレスを使って行う。圧搾は1日の作業の最後に行われ、普通、一晩行う。乾燥させるために、屋外か屋内に置いた木の板の上に、刷毛で貼り付ける。現在は、加熱した金属板も使われる。

最後に、シートを並べ、通常、ナイフを使い、テンプレートに合わせて形を整える。

Paper names

紙の名称の由来は、原料、生産地、製造方法、外見、寸法、用途、職人や工房の名前など、さまざまである。

Korea:

韓国ではコウゾの樹皮から作る紙が最も多い。

Used part of the plant:

根

葉

樹皮

Use for paper making:

染料

繊維

Paper manufactured during the period Goryo (918-1392). Intended for printing important documents. Very famous especially in China where it was exported.

Origin:

Korea

Botanical name:

Cannabis sativa L.

50% blue sandalwood paper.

Origin:

China

Botanical name:

Ulmus cavaleriei H. Lev.

Xuan paper made in sheets of 4,5m length. Made in 1 to 3 or more layers.

Origin:

China

Botanical name:

Ulmus cavaleriei H. Lev.

Lianqi zhi is a paper which quality was controversial; it was manufactured in the Xinjian imperial manufacture which will be transferred to Yanshan. It will then take the name of the Longqing era (1567-1573).

Origin:

China

Local scripture:

江西省

Botanical name:

Broussonetia papyrifera (L.) L’Hér. ex Vent.

Primary tabs

Phragmites communis Trin.

Alcea rosea L.

Cannabis sativa L.

Hibiscus manihot L. var. manihot

Boehmeria nivea (L.) Gaudich.

Morus alba L.

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