カラムシ属はイラクサ科の属で、約100種で構成される。約65種が熱帯・亜熱帯に分布し、そのうち6種が中国の固有種である。顕花植物であるが、イラクサ科の他の植物と異なり、この属の植物には刺毛がない。
ナンバンカラムシ(Boehmeria nivea)は、丈の高い多年草である。地下茎の株分けにより増える。茎は2~3メートルまで成長する。排水性の良い砂地の土壌を好む。
丈夫な靭皮繊維を取るために栽培される。生育地の気候によっては、年に2~4回の収穫も可能である。
繊維は麻よりも短いが、非常に丈夫で、縄や網の製造に適している。長い繊維は織物業界で使われ、短い繊維は製紙業界で使われる。
6000年以上前から使われていたと考えられており(古代エジプトでミイラを包むための布の製造に使われていた)、世界で最も古くから織物の原料として使われていた植物の1種に数えられる。
しかし、この植物から繊維を抽出するのは困難である。樹脂の中に繊維が深く入り込んでいるため、引きはがすのが難しいためである。
また、分子の結晶化度が高いため、繊維を染めにくい。光沢があることから、「silk plant=絹植物」と呼ばれていた。
解熱剤などの薬効も知られている。また、葉と根は食用にもなる。
Boehmeria nivea は飼料としても栽培される。