この植物は、安徽省涇県で生産される宣紙を作るための原料である。この紙は青檀の樹皮と稲藁の繊維から作られる。2種の繊維を混合することにより、この紙に絵画と書道、特に鋭利な筆致の効果に適した特性が生まれる。
品質は青檀の樹皮と稲藁の混合比により決まる。
宣紙に関する最初の言及は、中国の古書「歴代名画記」(9世紀中頃)と1060年の「新唐書」(宋朝の学者が編纂)に見られる。
涇県での製造は唐代(618~907年)にさかのぼり、宣城市や太平市などの近隣都市が青檀生産の中心地であった。唐代、涇県は宣州の管轄下にあり、紙の名称はそれに由来する。
宋朝までに、恵州、池州、宣州の製紙業界は徐々に、原料が豊富な涇県に移った。Ulmus cavaleriei(Pteroceltis tatarinowii)はその土地に自生し、そのそばで稲を栽培した。降水量の多い気候は、青檀の生育と稲作に適した環境である。
当初、原料費を抑えるために、稲藁を加えていた。宋朝と元朝(1280~1368年)には、竹や桑などの他の原料も使われた。
清朝(1644~1911年)に、製紙業界が急成長し、多数の種類の紙が開発された。
清朝末期、宣紙製造はすでに衰退し始め、漂白した竹の繊維を使った偽物の宣紙が製造されるようになった。
有名な宣紙は、現代の工場に由来する「紅星」ブランドである。