収穫は11月、12月の落葉の時期に始まる。枝を長さ1メートルにそろえて切り、束を作る。樹皮をはがしやすくするために、束を2~3時間、蒸す。この段階の皮は、貯蔵前に取り除く外層の色から「黒皮」と呼ばれる。この部分は削り取る。
次に、樹皮を洗浄し、ラックに掛けて乾燥させる。2~3年の貯蔵後に、樹皮は紙を作るために適した状態になる。
煮る前に皮を漂白するために、冷たい川の水に樹皮を浸けるか雪上に置いて、日にさらす。アルカリ性溶液中で煮ることにより、叩解中に繊維を分離しにくくするリグニン、ペクチン、ガム、ワックスを除去できる。アルカリ性溶液は木灰またはアルカリ性化学物質(水酸化ナトリウムまたは石灰)である。約2時間煮るが、皮の古さと使用するアルカリの種類により、時間は変わる。煮沸後、皮を洗浄して残ったアルカリを除去する。不純物は冷水中で、手で洗って除去する。
次に、パルプを槌か棒を使って手で叩くか、なぎなたビーターと呼ばれる日本製ホランダー叩解機で叩く。
水を張った木の槽にパルプを注ぎ入れ、分散剤を加え、木製の熊手を使って強く攪拌する。
抄紙には、流し漉きと溜め漉きの2種類がある。溜め漉き法では、必要なパルプ全量を一度に取ってシートを形成する。流し漉き法では、目的の厚みになるまで繊維の層を重ねて作る。
シートは印をつけた板に1枚ずつ寝かせる。圧搾後にはがしやすくするために、間に何か(糸、茎)を挟む場合がある。圧搾は紙に重しを載せるか、またはレバープレスを使って行う。圧搾は1日の作業の最後に行われ、普通、一晩行う。乾燥させるために、屋外か屋内に置いた木の板の上に、刷毛で貼り付ける。現在は、加熱した金属板も使われる。
最後に、シートを並べ、通常、ナイフを使い、テンプレートに合わせて形を整える。