麻の栽培は、おそらく中国で最も古く、最も長く続くものの一つと考えられる。
麻は中国全土で栽培されるが、特に北部に多い。おそらく中国北部で発展し、そこで最初の繊維用植物として栽培されたものと考えられる。中国最古の薬物書である本草経(紀元前100年頃)には、泰山(山東省の山)が麻を栽培した史上最古の場所と記されている。
麻は明代(1368~1644年)に、綿繊維よりも早く、衣服を作るために使われた最古の植物である。
中国の古書では、麻、亜麻、ジュート、カラムシが「麻」と呼ばれている。
製紙用繊維としての麻の使用は最も歴史が長く、前漢(紀元前206~紀元後8年)時代にまでさかのぼる。
最初の紙は布から、または未加工の靭皮繊維から作られた。
ニヤ県(新疆ウイグル自治区)で発見された前漢時代の紀元前3世紀と年代が同定された最古の紙片、ハ橋区(陝西省)で見つかった紀元前140~紀元前87年と同定された紙片、楼蘭(新疆ウイグル自治区)近くのロブノールで1934年に見つかった紀元前1世紀と同定された紙片は、麻の繊維で作られていた。
漢代には、コウゾやカラムシなどの他の製紙原料も多く使われ、3世紀には籐も使われるようになったが、製紙用の主要な原料は常に麻であった。
唐代(618~907年)に、麻の紙は軽量、強靱で防水性があるため、書、製本、公文書(宮廷の文書を含む)に最適と考えられた。
製紙での麻の使用は唐代以降衰退し、しだいにカラムシと竹に移行した。