野生の約30種に加え、多数の地域で多数の雑種ができているが、主な種(二倍体)は次の通りである。
Gossypium herbaceum L. (var. typicum, または frutescens, または africanum)
Gossypium arboreum L. (var. typicum, または neglectum, または cernuum)
次のような栽培種(三倍体)がある。
Gossypium barbadense L.
Gossypium hirsutum L.
Gossypium religiosum L.
シロバナワタ(Gossypium herbaceum)は栽培種としてサウジアラビアとシリアに、次にインドに輸入され、インドでシロバナワタからキダチワタが生まれた。その後、それはアフリカとアジアに普及した。これらの種から三倍体が生じ、それが他の2種に取って代わった。
多くの考古学的証拠が、ワタは何千年も前に、離れた複数の地域(紀元前1万年にエジプトで、紀元前7000年にメキシコで、紀元前2300年にインドで)栽培されていたことを示している。しかし、紀元前4世紀に、インドからペルシャへ、そしてマレーシア、インドネシア、東南アジア、中国に広まったことは確かなようである。
キダチワタ(Gossypium arboreum)は1.50 mの高さまで成長する多年生低木である。他の種は多年生の草本または低木である。
花の色はオフホワイトから紫まで、種により異なる。卵形のカプセル状の実をつけ、成熟すると3~5個の蒴片に割れる。蒴片中の6~12個の種子は綿毛で覆われている。綿毛の白い繊維の長さは6~12 cmで、品種により異なる。
繊維には、長繊維(リント)と、それよりも短い綿毛(リンター)の2種類がある。
繊維を採った後の種子から油を採取できる。根はインドの薬物療法で、泌尿器系疾患用の煎じ薬として使われている。
織物と製紙に使う繊維としては、前述のいずれかの種の種子の綿毛が使われる。
紙の場合、繊維として織物くずを使う傾向があり、原料をそのまま使用することは稀である。この場合、リンターか、またはより稀に、リントが使われる。
植物の繊維を直接使う最初の試みは、20世紀初期に近代産業で始まった。リンターを特殊な綿繰り機にかけて裂く。リントは苛性ソーダで、リンターは苛性溶液で処理し、漂白する。